ケイ酸の少ない稲では、多い稲に比べて午後の光合成能が著しく低下することが認められています。ケイ酸を充分吸収した稲では一日中能力が下がらずデンプンの蓄積が盛んに行われることが報告されています。
東北大学の三枝教授は「10アール当たり600㎏までの収量増は、深さ5cmのうわ根の量に比例する。それ以上の増収には、直下根(深根)発達が重要」とし「根が大きいと、籾の不稔率の少ない穂が出来る」と根量発達の関係を指摘されています。
根の機能が高まることで、サイトカイニン生成量を活発にし、下葉の枯れ上がりが少なくなります。
葉が黄色になるのは、葉中の葉緑素が分解されるためですが、葉緑素の分解を抑えるサイトカイニンという植物ホルモンが根で作られ、葉に送られれば、葉緑素濃度を保つ働きをします。けい酸加里は葉で生産された炭水化物を根に転流するのを助け、根を健全にするので、サイトカイニンの生成量も増え、葉中のサイトカイニン濃度が高まって葉色を保てることになります。下葉の枯れ上がりを防ぐのはこうした作用からです。
寒冷紗被覆による日照制限下の水稲での一次・二次枝梗登熟歩合の比較試験において、けい酸加里区は対照区に比較して、一次枝梗においては殆ど差がなかったが二次枝梗では登熟歩合が対照区では 10.4 %低下したが、けい酸加里区では 5.7 %の低下で登熟が向上しています。二次枝梗での登熟低下の少ないことが明らかとなりました。